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AIプロジェクトの進め方

AIプロジェクトの進行プロセス

解説:なぜAI開発は「アジャイル」なのか?

従来のシステム開発(銀行のシステムやWebサイト作成など)は、「仕様書通りに作れば完成する」という確実性がありました。
しかし、AI開発は「やってみないと精度が出るかわからない」という不確実性が常に伴います。

そのため、一度決めたら後戻りしない「ウォーターフォール型」ではなく、短いサイクルで試行錯誤を繰り返す「アジャイル型」の進行が適しているとされます。

1. 基本フレームワーク:CRISP-DM

G検定で最も頻出の用語です。データマイニング(AI開発)の標準的なプロセスモデルとして、「CRISP-DM(クリスプ・ディーエム)」が定義されています。

以下の6つのプロセスを、一方通行ではなく「行ったり来たり(反復)」しながら進めます。

🔄 CRISP-DMの6段階

  1. ビジネスの理解 (Business Understanding):
    何のためにAIを作るのか? 目的とゴールを定義する。
  2. データの理解 (Data Understanding):
    どんなデータがあるか確認し、品質をチェックする。
  3. データの準備 (Data Preparation):
    AIが学習できるようにデータを加工・整形する(前処理)。
    ※ここが最も時間がかかる!
  4. モデリング (Modeling):
    AIモデルを作成し、学習させる。
  5. 評価 (Evaluation):
    できたモデルはビジネスの目的を達成できているか検証する。
  6. 展開 / 共有 (Deployment):
    実際の現場システムに組み込んで運用を開始する。

発展形:CRISP-ML(Q)

CRISP-DMを現代の機械学習(Machine Learning)向けに拡張したものです。最後の「展開」の後に、「モニタリングとメンテナンス」のフェーズが追加されているのが特徴です。
(※AIは一度作って終わりではなく、データの変化に合わせて再学習が必要なため)

2. 運命の分かれ道:PoC (Proof of Concept)

PoC(概念実証)とは

本格的な開発にお金をかける前に、「そもそもこのアイデアは実現可能なのか?」を小規模に検証するフェーズのことです。「とりあえず試作してみる」段階です。

⚠️ 陥りやすい罠:「PoC貧乏(PoC死)」日本のAIプロジェクトで社会問題になっている現象です。

  • 「とりあえずPoCをやってみよう」と繰り返すばかりで、精度が微妙だったり、現場への導入効果が見えなかったりして、いつまで経っても本番運用に進まない状態のこと。
  • 対策:PoCを始める前に「精度が80%を超えたら本番開発に進む」といった撤退・合格ライン(終了条件)を明確にしておくことが重要です。

3. 開発手法の比較:ウォーターフォール vs アジャイル

手法 進め方のイメージ AIとの相性
ウォーターフォール 「滝」のように上から下へ。
要件定義→設計→開発→テストと順番に進め、後戻りしない。
× 悪い
「やってみないと分からない」AI開発では、後戻りできないリスクが高すぎる。
アジャイル 「反復」サイクル。
「計画→開発→検証」の短いサイクル(スプリント)を何度も繰り返して完成度を高める。
◎ 良い
モデルの精度を見ながら柔軟に計画を変更できるため、AI開発の標準となっている。

G検定対策

出題ポイント

  • CRISP-DMの順番:特に「ビジネスの理解」が最初に来ることと、「データの準備」に最も時間がかかることは常識として問われます。
  • PoCの定義:「本格導入前の検証フェーズ」であること。そして「PoC貧乏(PoC疲れ)」という失敗パターンが存在すること。
  • アジャイル開発:「AIプロジェクトに適した手法はどれか?」という問いに対し、「ウォーターフォールではなくアジャイル」を選べるように。

ひっかけ対策

  • 「CRISP-DMは、一度デプロイしたら終了である」→ × 誤り。
    サイクル(循環)モデルです。運用結果を評価し、また最初のビジネス理解やデータ準備に戻って改善を続けます。
  • 「PoCを行えば、必ずプロジェクトは成功する」→ × 誤り。
    PoCはあくまで「検証」です。「技術的に無理だった」と判明してプロジェクトが中止になることも、PoCの重要な成果の一つです。
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